2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

吉本秀之、「ロバート・ボイルにおけるベイコン主義」

王立協会に象徴される17世紀英国の科学は、ベイコン主義的であった、そして、そのベイコン主義の代表格はロバート・ボイルであったという評価は、科学史の世界において根強く存在している。しかしながら、ボイルの生涯を子細に追っていくと、彼が最初からベ…

柴田和宏、「ベイコンの物質理論 『濃と希の誌』の分析を通して」

ベイコンは多くの著作で彼独自の物質理論を探究している。彼の理論は伝統的なアリストテレス主義への批判的応答となっているのみならず、パラケルスス主義や復興し始めていた原子論との対話の結果生まれたものであり、初期近代の自然哲学研究の興味深い題材…

坂本邦暢、「ベイコンにおける創造と摂理 質料に宿る力と量」

初期近代の科学史研究では、ベイコンは新哲学の推進者たちの一人とみなされている。互いに大きく異なる学説を唱えていた彼らを「新しい」という言葉でひとくくりにすることができるのは、彼らがみな伝統的なアリストテレス主義哲学を批判したからである。ベ…

伊藤博明、「ベイコンと古代人の知恵」

ベイコンは英語版『学問の進歩』を刊行してから4年後、1609年に『古代人の知恵』(De sapientia veterum)と題する書物を上梓した。彼はここで、「古代の詩人たちの、少なからぬ寓話の中には、すでにその初めから、秘められたこととアレゴリーが存在していた…

下野葉月、「ベイコンにおける神学と哲学 理性と啓示」

「新しい哲学」の擁護者として名高いベイコンは、スコラ哲学と神学の伝統から自然哲学を分離した人物として語られることがある。この解釈の是非をめぐって、これまで研究者のあいだで彼の神学と哲学をめぐる議論が展開されてきたが、未だに定まった見解が共…

シンポジウム開催趣旨

今日、フランシス・ベイコン(Francis Bacon, 1561-1626)は何よりもまず学問の革新を企てた哲学者として知られている。彼は論争しか生まないスコラ哲学とやみくもに実験を行う錬金術を拒絶し、帰納法に基づき有用な成果を上げる学問の必要性を唱えた。この…

シンポジウム告知

新しいベイコン像を求めて 神学、寓話解釈、物質理論 New Light on Francis Bacon: Theology, Mythology and Science 日本科学史学会第56回年会 会場 東京海洋大学 日時 2010年5月29日、ないしは30日